図書部会部長 大塚さんにインタビュー

図書部会の新部長、実践真宗研究科院生二回生の大塚雄介さんにインタビューしました。
活動内容から読書方法、真宗の探求などについてたいへん興味深くためになるお話を聞かせてくださいました。

 ← 大塚雄介さん

まずは、図書部会というのはいったいどんなことをする部なんですか、という素朴な質問から始めたいのですが。

ひとことで言ってしまえば実践真宗学研究室の資料の検索性を上げるために活動する部会です。そのために本棚を整理しどんな本があるのか把握します。合研の片付けもします(笑)部屋が散らかっていると本や資料が紛失しやすくなりますから。他の部会がプラス方向の活動とすれば図書部会はマイナスを防ぐための活動、といえるかもしれません。

大塚さんはなぜ図書部会を選ばれたのですか?

わたしが本好き、というのが最大の理由ですね。小さい頃から図書館の主みたいな生活をしてましたから。

仏教書を読む意義、というものを大塚さんはどのように考えてらっしゃいますか

いちばんは「自己を把握するため」じゃないでしょうか、、、比較しないと把握は難しいと思うので。特に仏教は釈尊の一次思想があって次にそれを受けた様々な祖師方の二次思想、それらがさらにさまざまな人によって仏教書として書かれる、、、という具合に階層的に思想がどんどん広がっていきます。自分に合った思想を見つける、というよりはむしろ、他のさまざまな異なる思想に触れてその上で「こんな考え方があるんだ。私はどう考えるだろうか」というように思索を繰り返す。それができるのが読書の良いところだと思います。知らないことのほうが知ってることよりも圧倒的に多いわけですから。

仏教書、専門書以外も読まれますか?

読みます。最近は本屋に行ってあえて自分が普段足を向けないコーナーに行くんです。こんな分野があるんだ、これは知らない世界だった、という発見が面白いです。そうすると自分が何を知らないかがよく分かるんです。

なるほど、、真宗の勉強するのだから真宗の本だけ読んでおこう、という考えではないんですね

逆だと思います。真宗しか知らないというのは真宗を知らないことにつながるのではないかな

部活の方なんですが今学期はどんな活動をされてますか?

今まで書評を書くというのを細々やってたんですがこれを活動の中心にもってきて、他の部会のみなさんに毎月書評を書いてもらう企画をたてました。それをHP部会でuploadしてもらう、といった形を考えています。ネタ切れのときなど使ってください(笑)

それは是非使わせていただきたいですね!  逆に他の部会の人が「本を読んだから感想を書いてみたよ」と原稿を持っていってもいいんですか?

もちろん、大歓迎です。(編者注※600字くらいだそうです)

活動の今後の予定は何かありますか?

未整理図書があるので整理したいですね。持ち込まれた本もできれば夏休み前に整理し終わりたいです。 目録も作りたいです。

他の部会との連携はどんな感じでしょう?

さっき申し上げたように書評をHPに載せるとか考えていますが、「他の部会の方が探している本を提供する」ということもやっています。たとえば昨年は勤式部会さんが勤式集を探しておられたのでこちらから図書館にお願いして用意しました。

昨今は本離れの風潮がありますがみんなにもっと読んでもらうためのアイデアや工夫はありますか?

苦手な人は薄い本から読んでいくのがお勧めです。独りで読むのではなくみんなでそれを読んでみる、それで一度読んだ本を今度は自分個人で読む、、、というのもよいと思います。読んだことのある本をまた読み返すというのも大切なことだと思います。他にはそうですね、眠る前に携帯をいじる代わりに本をひろげるのもお勧めです。すぐ眠れます(笑)

最近は電子本が話題ですね

電子本も従来の紙の本もどちらも良い点があって共存していけると思います。なんといっても電子本は場所もとらないし(笑)読書行為そのものが好きな人は紙の本も大事にすればよいし。

では最後に部長さんのお勧め本を紹介していただけますか

いまここには無いのですがフランスの学者さんロジェ=ポル ドロワ『虚無の信仰 西欧はなぜ仏教を怖れたか』

この本はやはりすごいですね。仏教の内容への無知に関しては、西欧人と現代の日本人とはそう違わない状況になってきています。つまり未整理の情報を断片的に知っているだけで特に調べることもせず自分勝手に仏教のイメージを組み立てている、自分の観たいものだけ観ていく、、、といった状況です。たとえばニヒリズムが流行った時代なら仏教を通してニヒリズムがフォーカスされたわけです。今の社会で真宗を広めるときに、真宗の教えがどういう風に削られてしまうのか、といった問題を歴史を通して見ることは大切だと思います。

興味深いけどちょっと読むのが難しそうな本でもありますね。

あんまり難しい部分は飛ばして読んでもかまわないと思います。読みたいところだけを読むのもコツですよ。

初心者向けの仏教書も紹介していただけますか

真宗初心者ならケネス・タナカ先生の『真宗入門』はどうでしょう。わかりやすいです。

仏教学の入門書なら水野弘元先生の『仏教要語の基礎知識』もお勧めです。原始仏教の知識があると真宗の教えがどういう位置にあるか把握しやすくなります。

ゲラゲラと笑って読みたいなら 『聖☆おにいさん』もお勧めです(笑)ブッダってこんなこと言ってるんだな、とけっこう楽しめますよ。

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大塚さんの探究心と読書への愛情がひしひし伝わってくる有意義なインタビューでした。ひとつひとつの質問に丁寧に答えて下さった大塚さん、ほんとうにありがとうございました(^^)

聞き手 一回生 十河