図書部会ブックレビューvol.3

『負けを生かす技術』 為末大

著者である為末大は、広島県出身であり、男子元陸上競技選手である。2001年のエドモントン世界選手権において、男子400mハードル日本人初の銅メダルを獲得しており、短距離・トラック種目では五輪・世界陸上通じて初のメダリストとなっている。その他の世界大会においても優秀な成績を残しており、2012年に現役引退を表明している。著書に『走る哲学』(扶桑社新書)、『走りながら考える』(ダイヤモンド社)などがある。

あなたは、「負け」という言葉を聞いてどのようなイメージを持つだろうか。一般的には、マイナスなイメージを持たれる場合が多いように思える。出来れば負けや失敗といったことは少ない人生にしたいと考えるのではないだろうか。しかし、一生勝ち続けられる人などいないのである。また、勝利を掴んだ人でも、それまでに数え切れないほどの「負け」を経験している。その中で、著者である為末大は、自身のこれまでの陸上選手としての経験から「負け」とは何か、そのことにどのような意味があるのか、そして、「負け」をどのように生かすことが出来るのかが語られている。

本書で私が最も印象に残ったのが次の言葉である。

本当に強い人というのは、「世の中はこういうものさしで動いているけれど、自分の勝負はここだ」と自分で決められる人だ。それを決断できるのが強さだと思うのだ。

勝敗というものは、周りの評価、価値基準によって決められてしまっていることが当たり前となっている世の中で、自分自身の基準、価値観で条件を設定することに、勝負の意味が生まれ、自分自身にとっての本当の「勝ち」というものが見えてくるのではないだろうか。また、自ら条件を設定することにより、その勝負の結果がたとえ「負け」という結果に終わったとしても、次の勝利(成功)への糧にすることが出来るのであろう。

うまく物事が進まないと思ったときに、読むと少し気が楽になれるような言葉や独特な考え方が述べられており、気分転換したいときにおすすめな一冊である。

為末大 『負けを生かす技術』 朝日新聞出版 2013年  (1500円+税)

(記事:木下祥悟)

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