図書部会ブックレビューvol.2

冨原眞弓著『ムーミン谷のひみつ』

冨原眞弓氏は、ムーミンシリーズの著者、トーベ・ヤンソンの原著を読むためにスウェーデン語を習得し、後にヤンソン作品の翻訳・研究を多数手掛けた。

本書は、ムーミンシリーズからピックアップされた特徴的なエピソードをキャラクターごとに解説された入門書であると同時に謎解き本でもある。子供から大人まで幅広い人気を持つムーミンの魅力について、独自の文体をもつ原文の流れを壊さないように物語の面白さと不思議さを独特のキャラクターを通して伝わるように配慮されている。

本書はキャラクターごとに章が構成されており、1人1人のキャラクターの心理描写が切実に描かれている。本心では紹介されている全てのキャラクターに対する印象を述べたいが、あえて選ぶとしたらムーミンパパである。

ムーミンに登場するキャラクターは、各々の個性が「世の理想」として描かれている。ムーミンパパは、責任感にあふれ、子どもっぽいところもあるが家族を愛する「世の理想の父親像」として描かれている。中でも時々垣間見せる自由と孤独を求める冒険者的性格から家族を日常から離れた状況に連れ出し、息子の成長へと繋げている描写が特に印象的だ。子どもっぽく強引ながらも家族を先導していく姿勢には、憧れを抱いてしまう。

誰しもが自分もこのような人間になりたい、という憧れがあり、理想に向けて困惑しながらも精進しているだろう。しかし、時には愛らしいキャラクターたちを通して自分を見つめ直す機会を設けてみてはどうだろうか。そんな時にお勧めしたい1冊である。

mu-minn

<書籍>

冨原 眞弓『ムーミン谷のひみつ』筑摩書房、2008年

定価(本体価格640円+税)

 

(記事:帰依龍馬)

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